『理科系の文学誌』荒又宏(工作舎)
■言語の秘密をなぜSFは解こうとしないのか?そう自問しながらスタートしたこの文学誌にとって、今のところ最も刺激的な解答をポンポン投げ返してきてくれる日本人は、残念ながらSF作家でも言語学者でもない。1人は空海であり、もう1人は安藤昌益だからである。(P57)
□「統道真伝」安藤昌益(岩波文庫)
■(もちろん)人を苛立たせずにおかないこうした哲学的疑問のひとつが、言語に対しても古くから投げかけられていうことは言うまでもない。それは、次のような問いである。
言語は神のものなのか、獣のものなのか?(P58)
■ライプニッツ、ヴォルテールら古典的ユートピア言語派の時代には、東洋はまだ倫理と徳の国であり、漢字は聖文字であった。
しかしチャペックの時代には、その神話すら吹き飛んでいる。(P79)